ぼくはサラリーマンになりたい

セブンイレブン帰れま10を見てからというもの、晩ごはんのセブンイレブン率があがっている。野菜たっぷりタンメンよりも親子丼の方が好きだ。山でのフリーズドライにも驚くばかりだけれど、レンジ調理の食品が普通に美味しいから困る。

先日、巣鴨やよい軒でごはんを食べているときのこと。めずらしくOLさんがひとりでカウンターに座っていた。周りの男たちは肘をついて食べたり片手で食べたりと食事のフリースタイルダンジョンが執り行われているなか、背筋まっすぐに食べるその姿に惚れ惚れして見入ってしまった。食べ終わると食器をまとめるなどしていてなんて出来たお嬢さんなんだと感動した。おれもまけじとごはん粒まできれいに食べた。

帰り道にベンチに座っていると、高校のときのクラスメートに声を掛けられた。8年ぶりくらいかもしれないし、もしかしたらもう一生会わないかもしれない。これからそういう出会いが増えていくんだろうな。なんだか最近、ずっと憂鬱な気分に包まれている。

8年前にカンボジアのタ・ケウの露店で100円くらいで買ったTシャツはいまだに首元も伸びることなく着られるので、カンボジア製の生地はめちゃくちゃ信用をしている。シルクのストールだけじゃないんだぜってところを見せてやろうな!

朝、目を覚ますとスマホは7時10分を指し、目覚ましは7時47分を刻んでいた。いま果たして何時なのだろうか。時計にすら正しい時刻を打ってもらえなくなった。ググってみると7時10分が正解だったのでトイレ掃除や洗濯に精を出した。そしてついにこたつを出すことに成功した。残りは扇風機を洗って大切に冬眠させるのみである。

会社でジュースを買いにエレベーターで地下に降りると、あとからたぶん2年目の社員が乗ってきた。話したこともないが、どうやら体調が悪いようで、マスクをしながらぜいぜい呼吸している。あんまりつらそうだったので、デカビタを買って渡してあげたら満面の笑みを浮かべてくれた。実はぼくも2年目の頃、おんなじことをある先輩にされたことがある。この子も後輩におんなじことをしてくれたら、とってもうれしい。

天気がコロコロ変わるせいなのか、ある日帰宅しているときにいまの仕事に対してサッドネスが積もり積もって泣き出したい気持ちになった。やりたいことができないこと、やりたいと思い全力で取り組んだことが上司におざなりにされてしまっていると感じることが、こじれた結び目の根幹なのだと思う。いまの部署の状況を思えば、上司に非はないことは理解できるのだけれど、自分が実現したいことがいつまでたっても進まないことにおいそれと納得できるほど、軽い気持ちで仕事をしていないのも、また事実だ。はっきり言えば、最近のじぶんの勤務態度も良くないことは自分でも承知の上であるが、どうにも上司に対して複雑な感情が芽生えてしまっているから止めることができない。これまでのモチベーションの根幹にあったものがなくなると、自身の待遇や評価についてもおまけ程度に物申したい気持ちが芽生えてくる。いまの会社でぼくがやりたいことが実現できる部署はいまの部署だし、その部署でできないのであれば、ぼくがこの会社にいる意味は果たしてなんなのだろうか。いやいやと首を振る。後ろ向きな疑問文になってはいけない。建設的な問いにしなければ。こんな状況のなかで、ほくにはなにができるのだろうか。うるせえよって思う。

やりたいことができないのであれば。別のやりたいことを仕事に選ぶことも、選択肢のひとつなのではないか。いま、岐路にあると感じている。

ぼくは、サラリーマンになりたい。サラリーマンの人生は長くても40年。あと9回もいまのサイクルを回せばすぐに引退なのだ。ほくたちに残された時間なんて、それほどたくさんはないのかもしれない。