先輩との帰り道と失敗したステーキの話

先輩と一緒に帰る途中、異動してきたばかりの先輩がめずらしく課の力になれないことにおちこんでいた。
「エクセルのファイル見てもみんなのはなし聞いても仕組みがいまいち理解できないんだよな」
でもすぐに、「まあでも向上心持ってるからハイぜんぶおっけー」っ話打ち切っててその自己肯定感だけは見習わないといけないと思った。

すぐ前方に、線路を挟んで神田川を見つめるおじさんがいた。

おれ「おしっこですかね」
パイセン「いやなことでもあったのかな」
「川まではちょっと遠いですよね、20mくらいある」
「その辺の雑草にかけてるのかもよ」
「川が目標だとするとホースでもなかなか届かないすよね。並の水圧じゃあ」
「話変わるんだけどさ、うちの部って年賀状とか出すの?ほら部長とか課長とかに出さないといけない文化みたいな?」
「そんなことよりもう少しおしっこの話しましょうよ」
「水圧な!!びしゃーってよ!!!(目を輝かせながら)」
「ダハハハハ!!返してきた!!!さすがどんなボールでも打ち返してきますね」
「逆にど真ん中ストレートが打てないの」
「今日イチで面白かったやり取りがおしっこですよ」
「おしっこでよろこぶとか小学生かよ」
くだらない話に付き合ってくれる先輩なので大好きです。

先日、ステーキを食べようと思ってハナマサで500円くらいのぶあついOGビーフを買った。室温に戻し、塩コショウを振る。フライパンには牛脂とバターをたっぷり溶かし、茶色に変わってきたところに肉を入れてステーキをつくった。レア目にとてもうまくできたのだが、やはり国産肉とはちがう。肉自体が固く、つまみ食いで一口食べたらなかなか噛めない。最初の一口がなかなか噛めずにビックリしてしまったせいで、たいして噛まないままけっこうな塊を飲み込んでしまった。いままで生きてきたなかでもっとも大きな塊が喉を通る。その時は冷静に、窒息死ってこうやってなるんだなってしみじみと思った。しばらく呼吸が止まったが水を飲みまくりなんとか消化器に落とすことができた。独身の男性がつまみ食いで窒息死したら笑ってほしい。もう2日も前のことだけれど、いまだに喉が開いてしまっている感覚がある。こんどOGビーフでステーキを食べるときにはたまねぎや酒に浸けたり肉を叩いたりして下ごしらえをしっかりとしよう。それからたくさん噛んでから飲み込む癖をつけような。