納豆パスタには一匙の味噌を

久しぶりに会社の人と飲みに行った。退職した後輩と、いまの部署の先輩、もうひとりはほぼ初対面。男だけの4人。何も気を遣わないので楽しい。磯丸水産で飲んだのでせっかくだしホタテでも焼いてみると、おれのホタテは見たことないほど砂だらけで食えたもんじゃなかった。ジャリジャリさせながら食べた。砂を噛むような気持ち。事実、砂を噛んでいる。なにはともあれ鶏の唐揚げがおいしかった。陸(おか)の食いもんじゃねえか。いいかげんにしろ。帰り道、小中学校で5億回聞いた「愛はコンビニでも買えるけれどもう少し探そうよ」のラインがリフレインして止まらない。どうかしてる。磯丸水産では砂を抜いたホタテすらも売っていなかった。意外と酔っぱらっていたので帰宅してから水を2杯飲む。風呂に入って寝た。

朝、起床。寝癖もそのままに近所の蕎麦屋でカツ蕎麦を頼む。カツはどうやら昨日の残り。冷えきっていてとても残念な気持ちだ。揚げたてだとジューシーで甘くおいしいのに。ゴリラーマンを三冊読んだ。ここで積んだ徳はどこかで還元されることを思おう。観葉植物でも買いにいこうと朝から商店街をぶらぶらした。梅が咲いている。木々はもう春の装い、植物は一足先に衣替えというわけだ。お店はまだ開いていなかったので商店街を歩き回った。数千円くらいのおおきなものを買おうと思っていたのだけれどハマるものがなく、5店舗回るも結局280円のローズダリスを買い、鉢の植変えからしてみることとなった。ひなたで土をいじるのなんて何年ぶりか。悪くない。とても好きだ。下から漏れるほど水を遣るその間は、なんだか薄ぼやけた愛しさみたいなものが育まれる気がする。お腹が減ったのでセブンイレブンに行く。若いおかあさんが桃の花を携えていたのが横目に見えた。外に出て、桃の花と、咲ききったバラをドライフラワー用に買った。花屋のおばさんとの会話に嬉しくなるようなときもある。街の商人とのささやかなつながりも大切にしたい。280円でこれだけ満足度が高い買い物もそうあるまいに。

一年前からめんどくさくて放置していた家のインターネット接続をついに申し込むことにした。とりあえずは大家が一括負担している無料のコースを申し込むことにした。これでスマホのブログ更新や調べものからすこしはおさらばできるかもしれない。きっと動画は重いんだろうな。ユーチューバーには一生なれない。

夜は心・美・体、というイベントへ向かった。うつくしきひかりのライブは何年ぶりだろう。友達の結婚式だのなんだのがいつもきまって重なり、ついに最後に見た記憶も線を結ぶことなくほどけてしまった。しかし今日という日にその線もまた結ばれるのだ。フードで出店していたパークの加藤さんと久しぶりに再開。平井の名店獅子王アド街に出ていた話をした。豆腐もとてもおいしい。豆腐の濃度が濃い。商店街の豆腐屋の絹豆腐ともぜんぜんちがう。塩は豆腐を引き立たせるし二種類の醤油はどちらもテイストがちがう。どちらもおいしいのだけれど、一方は豆腐と混ざりあい旨味を足し合い、もう一方はコクを強め背景を増すような印象。

中川さんからはライブ前にとても嬉しい言葉を掛けてもらい、お礼を言った。それからひさしぶりにMC.sirafuさんと言葉を交わした。in da houseがさいこうだったことと久しぶりのうつくしきひかりをとても楽しみにしていることを伝えることができた。なんだかライブが始まるまえからすでに嬉しい。

うつくしきひかり。彼らの音楽はやはり厳かで、周りの音も声も、時には休符の間に車が走る音すらも音楽に変えていく。懐が深い。この日後ろで流れていた昆虫や植物の超スロー映像がとってもよくてぜんぜん飽きなかった。昆虫の造形のうつくしさを思い、植物の芽が出たり花が開くまでの異形さを思った。うつくしさと気持ち悪さは紙一重だ。カレーを食べてみるとスパイスに花椒かなんかも入っていてエキサイティングにおいしかった。でも花椒をそのままいれるのはけっこう度胸があると思う。また砂かと思った。さいごに中川さんともう一度言葉を交わした。おれも頑張らなくてはいけない。ちなみにこの日、うつくしきひかりから今年はアルバムを出す、なーんて話がありましたのでご報告いたします。調べてみると2014年7月@キチム以来のうつくしきひかりでした。イベントとしてとてもおもしろく居心地もよかった。じつに充実した気持ちで会場を後にする。すこし道を間違えて帰宅した。こうなったらこの良き日を贅沢で埋めつくそうと汁なし担々麺屋へ。つい癖で半ライスまで頼んでしまう。ぼくがさいごの客となり、大将としばし言葉を交わす。ふいにいまの会社を転職しないのかと問われ、そうですよね、と返す。そういう時期なんでしょうけどね、他のお客さん見てるといい会社だろうにもったいないと思ったりしますよ、と二度言われる。落とされたハンカチを拾ったつもりになり、もう少し頑張ってみようと心のどこかで思う。大将の職歴の変遷やこの店のメニューの移り変わりなんかも聞けてよかった。

日曜日、朝の記憶はない。昼にペペロンチーノを作り、無印良品へ出掛ける。帰り道を散歩。おれの前にいたEXILEみたいなあんちゃんが横断歩道の向こうからやって来たちいさな男の子に突然首をカクカクさせるひょうきんダンスを興じ始めた。子どもはこの世の終わりみたいな冷たい目をしていた。ノリでいけると見くびったあいつもわるいがさすがにかわいそうだ。

納豆パスタを作った。別に納豆パスタって好きじゃなかったんだけど、ふと味噌でも加えてみようとおもい、一匙加えてみた。ただそれだけでおいしさがぐんと増したのでついおかわりをしてしまう。ここで言うおかわりというのはまったくおんなじレシピでまったくおんなじ分量をじぶんの手でつくりなおすことを言います。ひとりぐらしのおかわりと家族のおかわりは同音異義語なのだ。納豆パスタには味噌を加えると良い、ということをおおきな声で喧伝していきたい。納豆パスタにー?味噌をひとさじー!親のかたきはゆるすまじー!Say!

気分が乗ってきたのかトイレットペーパーを買いに出掛け、ドラマをみる。こたつでりんごアイスを食べた。なんだかいけそうなきがして、すこしだけ模様替えを試みた。レコードをキッチンスペースから主要生活空間へ移動した。木漏れ日の歌、チークタイム温度を経て超ライブを聞いた。例えば7時半からはラブのかんじとずっと生きてますか?納豆パスタをおかわりしてトイレットペーパー買いに行きこたつでりんごアイスを食べた場合、ラブのかんじとずっと生きてると言えますか?やっぱもう少し探そうかな。