惣田紗希個展「眺めてパッチWORK」弾き語りLIVEイベント

昨日は、惣田紗希個展「眺めてパッチWORK」弾き語りLIVEイベントに行ってきました。
たった11分で埋まってしまったという超豪華なブッキング!

ぼくは数日前からメールの文面を保存しておき、予約開始14時ぴったりに会社のトイレに駆け込む暴挙に出て、見事!狭き門をくぐり抜けました。

出演は、高城晶平(cero)、中川理沙(ザ・なつやすみバンド、うつくしきひかり)、yojikとwandaです。

会場のcommuneは環七沿いのため、外部の音が介入してくる環境で、かつ、マイクも1本だからギターの音も拾いづらいという環境。
昨日は、そんな状況の中で、周囲の音を音楽に含めていく方向、音楽の面積(もしくは密度)を拡大する方向というよりは、耳を澄ませて聞くことでいくつばかりかの音の輪郭が次第にくっきりしてくるという、小さな音が耳を引き込む、小さな音の力を感じる方向に働いていた気がします。

大きくするだけがロックンロールではない!ラジオの音量を上げるだけがロックンロールではないのだ!

トータルすると、とてもいい会場だったと思います。

高城さんの声はとても不思議で、かすれるようで透明で、すっと胸に刺さるような声だったりする。

スカートのカバー「春」から始まり、「あ…こんないい歌だったのか!」と。
それから高城さんはMCがとてもうまく、話ぶりが流麗というわけではなさそうなのですが、次の曲の導入としてのつながりがあって曲に入りやすかったです。児童館の話と、きみとぼくと立体。の話がとてもよかった。
あとあの独特の人間味はずるいですね。マイクの調整して会場爆笑させてます。いつのまにか好きになっちゃいます。

初めて見る人にも優しいライブだったと思います。どれもいい曲ばかりで、ずっと幸せでした。

続いて中川さん。
中川さんと観客の間に一枚、薄い膜があるような気がしたので目をつむって聴いていたのですが、
なんといってもハイライトの一つは「ゆうびんやさん」をぶった切った「あ…!!!」でした。

「…シールドつないでなかった!」

結局、アンプにはうまくつなげず、そのままで。

「それじゃいまのぜんぶ、忘れてください♪(てへ(右肩上げ気味で)」

そのあと今度はギターのカポを忘れてしまって、
瑞希ちゃんに取ってもらってる間に電気がついてしまって、

「あー電気ついちゃった、今日はいろいろ展開とかも考えてきたのに、あーもうだめだー、おわったー」

再び爆笑。
いやーでも結局やっぱりすごかったです。
八月の終わり、夏の残響をうたった歌(新曲?)とか、wandaとの共演でABSのカバー「中国のシャンプー」。ビーサンの曲は変則なリズムだから難しそう!でもとてもいい曲。…あれ、父ちゃん帰ってこなくて、大陸に船出して、どうなるんだっけ?

高木さん&瑞希ちゃんが加わったまたあしたjourneyは、いままででいちばん「またあしたjourney」でした。
ファンファーレのコーラスも寄り添ってくれるもので、特に最後の「夜」は良かった。スティールパンの役割みたいなものが少しわかった気がした。
帰りは「うつくしきひかり」聴いて帰りましたよー。

そして最後はyojikとwanda
微小な振幅のビブラートの効いたやわらかなyojikの歌声、やさしい輪郭でこだまするwandaの歌。

I Love Youは、聴くたびになにか踏み出さねば!観念的なまま終わってしまってはだめだ!と思わせてくれる歌です。
1st「dreamland」はどれもいい曲だと思うのですがこの曲はちょっと抜けてます!

「19から18でどこまでなら話せるかな」はやっぱり不思議な歌詞で、ぼくは駅の番号だと思ってたんですが。渋谷が1番で。いや、そもそも東急の急行電車で19も駅があったかはよく分からないのですが。(たぶんない

ある曲の最中、小学生の時ぼくはサッカークラブに入ってまして、その監督のことをふと思い出しました。そのクラブは地域一昭和的指導で、水飲まないなんて当たり前。グラウンドを大声出して走るのも当たり前。空気椅子や筋トレ当たり前。わざとシュートを絶妙に外しボールを取りに行くふりをしてぬるーーーーい水道水を飲む輩(小学生!)までおりました。その技術を試合で生かせよ!

合宿なんてきつすぎて何度も何百回もやめてやろうと思ったのですが、練習がいやすぎて降れ降れ坊主をつくってたことすらあったのですが、その指導があったから、「このくらいたいしたことないわ」って乗り越えられたことって何度かあったと思ってます。

そのクラブはオレンジ色のユニフォームが特徴なのですが、まあおそらくもう30年近く続いていまして、そうすると卒業生を含めて、適当に数えてもう600人前後の教え子を輩出しているわけで、もちろんいまは指導がだいぶ変わって現代的な理論派の指導者がおりますが、やはりその監督の魂みたいなものって推定600人くらいの教え子に、割合は違っても受け継がれていくものだろうなぁと、ふと思いました。

その監督のことを、ふとすげーなーと思ったのです。1円の利益にもなりもしない、どちらかといえば支出がかさむようなことを、毎週毎週、貴重な週末を費やす生活を30年も続けていて、その意思は教え子のコーチに受け継がれていて、自分は引退して。日本社会から見たらぜんぜん注目もされないし、存在なんて認知されてない人だけど、そういう人が日本中にいたからきっとサッカーはこれだけ広まっていて、その一人であるってことは、すごいかっこいいなぁと。1人でちがう景色を観ておりました。


ライブ後、惣田さんが挨拶をしていて、

「曖昧な音楽っていう作品が、かたちになる過程を、音楽家とおんなじ温度で、手に取る人の顔とか気持ちとか暮らしとかを想像しながらつくりたい」

みたいなことをおっしゃっていて、それがすごいぐっときた。超かっこいい…!


最高だったライブの後は、惣田さんの個展「会期後半:眺めてパッチWORK」を観ました。
出演者の荷物置きスペース兼だったのですが、入った瞬間の壮観さに思わず「うわー…」とつぶやいていました。
会期前半はモノクローム中心で、シンプルな線の重なりが魅力的でしたが、今回はカラフルなTシャツやバッグがずらーっと並び、その眺めはちょっとすごい!ほんとすごい!

展示を観ても、売る、買うの間に省略された過程を可視化してくれてて、単なる音が商品・作品に変わるまでにほんとうにたくさんの人の 顔や 手や 足や こころ があるのだなぁと思いました。
デザインする人、印刷する人、商品を運ぶ人、連絡や交渉をする人、宣伝する人、商品を棚に並べる人、手に取る人、視聴する人、商品を買う人、感動しちゃう人、、、そのそれぞれがきっといろんな思いを持っていて、なんかそれがいいなぁっておもったのです。


自分のこんなブログでも、読んでくれる人の顔とか気持ちとか暮らしとか、もう少し具体的に想像してみようと思いましたよ!


最後にザ・なつやすみバンドのみなさんにご挨拶してから帰りました。好きな、というかもはや憧れているバンドのみなさんにあんなふうに言っていただけて、もう帰りはずっとはぴねすでした。

それで、yojikとwandaの2ndアルバム「Hey!Sa!」を購入いたしまして、いま聴いてます。
まずみなさん、CDを開けたら、CDを外し、ケースを太陽にかざしてみてください!
野花を駆け回って音楽を運ぶ小人たちが見えますから!
こんなデザイン初めて!!!
これは、偶然なのか狙ったのかわからないんですが、買った人じゃないと味わえないですよー

まだまだ聴いてる最中ですが、1stに負けずいい曲そろってますし、スティールパンを前に出すバンドの音がとてもいいです。


そういえばこの日、行きの京浜東北線で、ある親子が「お父さん、おつきさまが出てるよ!あ、見てみて、おつきさまが隠れちゃった!」なんてほほえましさ100倍の会話をしておりまして、帰りにはもう、ジンライムのような、なんて例えを持ち出す必要もないほどのおつきさまがくっきりと出ておりまして、雲はどこかに行ってしまいました。雲はどこかに行ってしまいました。