手取り年間20万増やすマン!

私はある企業で人事の仕事をしています。
私はいま、手取り金額の少なさに嘆いている若い世代にぜひ伝えたいことがあります。


単純に年間20万円くらいは手取りを増やせる可能性があります!(序盤から怪しげ〜!)
壺を売る話でも友達に勧誘する話でもありません!


私の会社は2ちゃんねるやマスメディアからも指摘されるほどの薄給企業ではありますが、少なくともいまの私にとっては良い会社であります。仕事も面白いとおもっています。給料の少なさは、ある程度は納得しています。むしろ給料の低さで転職するより、自分の手でこの会社の待遇改善をするんだ!という志をいつしか持つようになりました。


さて先日、自身の給与明細を見ていたときに、いくら薄給とはいえ手取り金額のあまりの低さ、とりわけ給与に対する社会保険料、なかでも健康保険料(病院に行って保険証を見せると3割負担で済むやつ)と厚生年金(上の世代を支えるために支払う年金)があまりに高く取られ過ぎていることに憤りを覚えました。


健康保険料と厚生年金は4月から6月の期間の標準報酬月額に応じて金額が決まります。収入の多い人ほど高い金額を納める仕組みです。

標準報酬月額とは被保険者が労務の対価として受けるすべてです。給料、各種手当、残業代、休日出勤手当、通勤交通費などがあたります。ただし見舞金や年三回以内の賞与は除きます。

その後1年間はこの基準で固定されるのですが、私の仕事はその時期が繁忙期のため、どうしても社会保険料が高くなってしまいます。
ただし今日確認した現在の社会保険料は、通常の月から鑑みると社会正義上考えて不当に高すぎる金額だと感じました。繁忙期分の代替休日を取得したため控除があったにせよ、今月の手取りは一人暮らしの生活が困難に思える金額でした。住宅更新日や結婚式ラッシュの御祝儀モッシュを除いても赤字です。

驚きと憤りと、もはや少し面白くなってきた気持ちをパワーに変えて色々と調べてみると、「4月から6月に業務が集中する仕事に就いており、毎年その傾向が認められる場合、前年の6月から当年の7月までの期間の標準報酬額で保険者に算定を求められる」ことがわかりました。
平たく言えば、業務の繁忙時期から仕方なく高すぎる社会保険料になってしまう人はもう少し公平な社会保険料になるように会社から申請あげてくれれば受付けるよ、ってことです。

これまでは社会保険料の仕組みについて嘆く度に、人事担当者には不利な制度だよね、という諦めを前提に周りから慰められ続けていたのですが、平成23年に上記のような制度の改訂があったようです。総務省の行政評価局から厚生労働省に対するあっせんです。





人!事!な!の!に!知!ら!な!か!っ!た!(恥)




ていうかうちの会社この制度だれも知らないんじゃないか?
ぼくは早速来週、部長を説得し、会社の人事制度を見直します。やらない理由がない。この事務作業ぜんぶ自分でやったっていい。なぜなら金がほしい。



いまぼくが大きな声で言いたいことがあります!



まず、手取りが低くて悩んでいる方!

給与明細の社会保険の金額を確認してください。

あなたが4月から6月の標準報酬月額が通常月に比較して高くなる業務に就き、かつそれが毎年認められるような場合、社会保険料の基準となる標準報酬月額を、妥当な金額になるように算定を求めることができる可能性があります。
具体的には社会保険料を決める標準報酬月額において、2等級以上の差がある場合、会社から保険者に算定を求めることができるのです。(私の場合は1.5万円近く余分に支払っており、等級にして5等級の格差がありました)

心当たりのある方、まずは給与明細を開いてみましょう。次にお勤めの会社の人事担当者に当該制度について相談してみてください。以下の通り、会社にとってもメリットのある話なのです。
万一動いてくれる気配がなければ労働組合がある場合はそちらに相談してみてください。


それから、すべての企業の人事・総務担当者さま!
ご自身の会社で、4月から6月に特に繁忙期をむかえる部署はありませんか。たとえば人事異動や組織改編、昇給、業績評価や賞与の算定を担当する部署、決算を担当する会計の部署、株主総会を対応する部署などです。


これらの従業員は社会保険料を過剰に支払っている可能性があります。ご存じの通り、社会保険料は従業員との折半。そのため、会社は従業員が過剰にとられている差額の倍額のコストを過剰にかけている可能性があります。
たとえば仮に、私のように、従業員が1.5万円余分に支払っている場合、会社は3万円ものコストを余分に支払っているのです。これ月額です。年額にすればひとりでも結構な金額です。
従業員の多い会社ほど、削減できるコストは大きくなります。


逆を言えば、当該制度を利用することで一部の社員においては、会社の社会保険料コストを削減しながら、従業員の可処分所得を増やすという、経営者や人事担当者にとっては夢のようなことが実現できるのです!(これすごくないですか?)
もちろん人事担当者の事務処理コストはかかりますが、余裕でお釣りが来ます。


世の人事担当者ってどこもいまは、

人員不足!待遇改善したい!原資がない!

の地獄にもがいているとおもうのですが、原資どころかコスト削減ですから。その分がまるっと利益に乗っかるのです。株主も嬉しい!
従業員からすれば額面よりも手取りが重要!
みんな嬉しい!いえあ


いままで社会保険料への愚痴ばかり記してきましたが、確かに高い社会保険料を支払うということは裏を返せば、社会に対して高い貢献を果たしているという一面もあります。

一方で他者への支援は継続性の観点から自身の生活を充足させる範囲を前提として行われるべきであり、過剰な金額を支払っている現状に対して異議申し立てることはなにも恥ずべきことではありません。


また、標準報酬額は年金の支給金額に影響を与えます。高い社会保険料を納めている方には、将来、高い年金が支給される、ということになっています。

しかし、ぼくと同じ世代においては、年金に対する期待感はほとんどなく、上の世代を支えるために諦めの気持ちで納めている(というか天引きなので納める以外の方法がない)のが現状だと思います。

年金に期待するくらいなら自分で運用したい。若い世代への社会保障の手薄さが議論されてるくらいですから。ぼくは単純にお金がほしいです。毎日自炊する代わりにたまの好きな趣味には遠慮しなくていいくらいには。


とはいえ、年金は将来の人生にわたる収入計画に関することなので、従業員の同意書は必須だと考えます。



以上、ぼくが数年間働いていたなかで、みなさんに最も役に立つ可能性のある知識の共有でございました。
役に立つ人がいるといいなあ〜


最後にひとつだけ。
ここまで書いてきた私は社会保険労務の実務に就いているわけではなく、自分で情報を集めてきたにすぎず、一部認識に誤りがある可能性があります。念のため、企業ごとに社労士への相談を検討してください。

また、お詳しい方がいらっしゃいましたら、コメント欄においてご教授いただきたくお願い致します。


以下、参考資料です。

1、報酬の実態に即した標準報酬月額の決定(回答
−行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせんに対する回答
http://www.soumu.go.jp/main_content/000133520.pdf


2、報酬の実態に即した標準報酬月額の決定(概要) −行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっはせん−
http://www.soumu.go.jp/main_content/000093711.pdf


3、被保険者の方の健康保険料額(平成27年9月〜)【都道府県別】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h27/h27ryougakuhyou


4、標準報酬月額・標準賞与額とは?
  報酬の範囲https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3165/1962-231