大葉とキムチの豚肉巻き

ふと思い立ち、美容院に電話し前髪カットというものをやってみたいと申し出た。前髪だけをカットするため、1080円でできるという。10分くらいで終わった。案外速くて驚いた。駅まで歩く。駅についてから傘を忘れたことに気づき、美容院まで戻り傘を取って駅に戻る。途中おなかがすいたので焼おにぎりをひとつ買った。普段はおにぎりを温めてもらうことはないのだけど、焼おにぎりを買ったので温めてもらった。

ふと思い立ったというのには少し理由がある。ぼくはどうも仕事中、とくに繁忙期、死んだような顔をしているときがあるらしく、そういう自分は自分で好きじゃないかもしれないと最近ふと考えたのだが、そこで机に鏡をおいてみた。鏡があれば「あ!いま顔死んでる、いかんいかん」みたいになるかなと思った。
「色気付いてるな〜、おい〜」なんてつまらないいじりを受けるリスクはあるし、18年前くらいの接客講師とかが言いそうなアイデアだと思った。でもいいアイデアかもしれないのでやってみることにした。そしてこの作戦は開始15分で失敗した。鏡越しにちらっと見える自分。そういえばぼくは自分の顔が嫌いなんだったと認識したので、この作戦は失敗だと悟った。

それじゃあ、んまーとりあえず髪でも切るか〜という経緯だったわけだ。てかこの話、ほんっとーにとうでもいいな。おれの話でおれがどうでもいいって一体誰に需要があるんだよ。おれはこれを残してどうしたいのだろうか。未来の自分がいつか「ふーん」くらい思ってくれればいいのだろうか。どうでもいい話します、って遅くなってしまったけどいま書いときました。

そう。つまり仕事でもなんでも成長することを斜に構えずに自分がかっこいいと思う自分に近づく努力をしていくことにさいきんのおれは肯定的になってきたということだな。ニヒリズムやシニカリストじゃあ届かないゾーンがあるはずだし、自分が嫌いな自分が自分のなかにあるかぎり、自分はどこまでいっても生きづらいから、それなら成長すること(言葉はなんでもよくて、変わること、かっこよくなること、できるようになること)が希望だなと思った、という話だ。

帰宅後、ごはんをつくる。
今日のメニューは豚巻き。最近豚巻きにはまっている。
簡単だし巻くだけなのに調理の充足感を得られる。実際、ただの炒め物に近いと思うのだが、口にいれると予想外の一体感に驚かされる。侮れない料理である。

さて、豚巻きといえばアスパラガスや大葉である。一方で、豚肉といえばキムチだ。
昨日ご飯を食べたときに大葉とキムチの豚肉巻きをおもいついたので、今夜の献立は「これから大葉とキムチを豚肉で巻くので神龍出てくるかもしれません」に決定した。
スーパーで大葉と比較的安めの豚肉を購入した。

調理はめちゃくちゃ簡単。
豚肉を広げて大葉とキムチをいい感じに薄く広げ、巻くだけ。
巻き目から焼き目をつけて、2-3面くらい焼き目がついたら酒をいれて蒸し焼きにすれば完成する。てかどうやったってうまい。お弁当にもぴったり。

フライパンから器に盛る。口に運ぶ瞬間、大葉の香りが膨らんでいく。紫蘇だ。まずここで嬉しくなる。そのまま、熱い肉巻きを舌に乗せる。ゆっくり噛むと大葉のパリパリした食感、そして肉汁とキムチの汁気が肉の甘味とキムチの酸味を引き連れて、そのまま溢れて舌に充満していく。ここで嬉しさが爆発。白米を3口運ぼう。耕した畑から三ツ矢サイダーの油田が発掘された瞬間のような瑞々しさである。ほんとめちゃくちゃうまい。これ以外、ぼくらは何を巻くというのだろうか。そりゃ梅干しを巻きましょうよ。

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