ガパオガイへの道のりを速さで割って掛かる時間を求めよ

月曜日、5時頃に目が覚めてしまう。会社が休みなので雑炊を食べたあとに日本酒を引っかけた。ひとしきり飲んだあと、少しごろごろしたがまだ10時だ。さいこうだ。とりあえず外へ。ポケモンゴーに興じて昼飯を食べて昼寝。そのあと再び外出。商店街やスーパーをはしごした。イヤホンをとると風鈴が静かに夏だった。スーパーを5軒はしごしたが425円しか使わなかった。商品に費やした距離や時間を考えると、とても濃密なショッピングだ。選択肢が少なくても、体験を濃くする、という考え方さえあれば、だれでも豊かさにアプローチできるような気がする。

夕飯は、冷凍していた鶏むね肉をフードプロセッサで挽き肉にしてガパオガイを作った。足の親指の臭いと称されるナンプラーは我が家にはないため、岩手の浄土ヶ浜で購入した魚醤を使った。バジルもないためプチトマトで代用した(代用できたかは不明だがバジルの清涼感をトマトの酸味で補う意図)。しかし自作のガパオはなぜかあんまりおいしくない。まず材料はモモ肉を使うべきだが、たぶん最大の理由は醤油で味を調えようとするからだ。どうも味がぼやけてしまう。肉の旨味を信じてニンニクと酒と塩で決める気概さえあれば味はグッと引き締まるはずだ、という学びを得た。次回は中華出汁ベースの汁を多目に作って浸そう。スープでジューシーさを増す考えだ。

夜、SMAPのベストアルバムを借りた。本当にほしかったCDは置いてなかった。久しぶりに聞くと、キムタクの出番の多さに驚いた。中学校のときには気づかなかった。そして提供される曲のレベルの高さ。ここは中学時代の印象と変わらない。全く安っぽくない。R&Bのマナーへの敬意。スマスマをみながら、ずっとSMAPの音楽をかけていた。

ところで、日本の、ミディアムテンポのR&Bの最高傑作といえば忌野清志郎(RCサクセション)の「君が僕を知ってる」。この曲を聴いていると、SMAPとファンのための曲としか思えなくなってくる。この曲は木村拓哉が落ちこんだ時期に糸井重里から薦められるままに聞き、救われたと自認する曲でもある。


今までして来た悪い事だけで
僕が明日有名になっても
どうって事ないぜ まるで気にしない
君が僕を知ってる

だれかが僕の邪魔をしても
きっと君はいい事おもいつく
何でもない事で 僕を笑わせる
君が僕を知ってる
 


火曜日、目を開けると窓には青空が広がっていた。しかし圧倒的に気だるい。火曜日でなければ心が折れていた。なんとか起きて、卵焼きをつくる。甘くておいしい。レンジで温めてガパオの弁当をこしらえた。シャワーを浴びて会社へGO。なんだか道のあちこちが猫の小便臭くて、たまらない気持ちだ。電車は空いていたのでそれだけが救いだ。何度か深呼吸をしながら歩き、気持ちを整えながら会社へ向かった。

終業し帰宅。駅のホームはすえた臭いがした。階段には傘が捨ててあった。改札を出て階段を上っているときれいな女性に追い越される。しばし目で後を追った。どれだけきれいな人にも悩みがある、というのは当たり前で不思議なことだ。不思議な話だが、そんなことが救いになることがある。羽のついた帽子をかぶったおじいさんが信号を待っていた。羽つきまじか。スーパーで豚の小間肉を買う。いつもの店員さんがメイクを変えていて、ずっときれいになっていた。店を出ると雨が降り始めた。