革靴を買った

仕事中、電車に乗っているとチンピラみたいな風体のおっさんが乗ってきて舌打ちを三回噛ましてきた。同じ土俵に乗ってはいけないと思い、窓ガラス越しにめちゃくちゃな変顔2回してやった。イカれたときの丹下団平みたいな顔で退治した。世直しマンになって世直しを生業としたい。

最近、仕事でよく外出をする。この前たくさん歩いていたらかかとのゴム部分が外れてしまった。よく見るとソール部分が大分痛んでいたので、修理に出すことにした。修理に出す前によく見ると、靴がかなりくたびれていた。いくつかクラックが入っている。ぼくは普段あまり手入れをしないからだろう。靴を見ていたら無償に恥ずかしくなった。インターネットで革靴と靴磨きについてさんざん調べたところ、外周部分のクラックは基本的に修理できず、最後は穴が開いておしまいとのこと。ぼくの持っている靴は3万円の革靴で、オールソール交換などをしながら楽しむ類いの靴だが、まったく、その特徴が活きていない。どうやら本当に恥ずかしいことをしていたようだ。せっかくの革靴が台無しだ。よく考えると社会人五年目にもなってシューツリーも持ってないし、そもそも革靴磨きの正しいやり方もよくわかっていない。その夜、革靴について色々調べていたら朝まで眠れなくなってしまった。

ぼくは足のサイズが23㎝。サイズを選ぶのがもう大変だ。スーツセレクトのPB程度の革靴では対応していない。ブランド内外でも木型の大小があるため、選ぶのはなかなか難しい。色々と検討した結果、過去二足どおりスコッチグレインの革靴を買うことにした。3万円。銀座の革靴屋に行ってみたら、店長に早速足元をチェックされた。目線でわかる。この人は靴で人のことを判断するのかと驚いた。それからは、ぼくも他人の足元をつい見てしまう。何がわかるわけではないが、ベルトの色と靴の色が違うときなどは、今日は疲れてるのかな?とか思うようになった。靴で相手のことがわかるとは到底思えないけれど職人さんにはわかるのかもしれない。本店で、うちの革靴の手入れには汚れ落としも使わないでください、と言われてしまい、いままでの手入れの仕方が根本から崩れ落ちた。最近はシューツリーを買い、毎日帰宅後には1分くらいブラッシングをかけている。今度の靴は5年以上は履き古したい。

うまく言えたことがないこんな気持ちばっかりが寄せては引いていく人生でも、たまにふとした瞬間にたったひとつだけキャッチできるシーンがあったりするからやめたくないだけなんだ。