フジロッ久(仮)ツアーファイナル20161006@新代田FEVER

フジロッ久(仮)のツアーファイナルを観た。いま、仕事終わりに神田まつやで酒を飲みながら感想を書いている。赤星大瓶、しばし蕎麦味噌を舐めて楽しむ。いいタイミングで焼き鳥(タレ)に弾力の良いわさびかまぼこが運ばれる。かまぼこに乗せるわさびに手間取りながら涼しい顔で口に運ぶ。このあとニシンの棒煮を頼んでから、盛り蕎麦に移るのがこのお店に通って6年目の私の型である。まれに贅沢をするときはうになんぞを頼む。寒くなってくると、口内のうま味を流すのはビールから日本酒ぬる燗に選手交替である。今日はギリギリ、ビールの季節だ。

さて話題はフジロッ久である。会場の新代田FEVERに着けば、尊敬すべきファン達が集まっていた。kbさんとは初めて挨拶を交わした。腰が低い!彼のことを初めて勝手に認識した去年のトコナツwinter以来、ぼくの尊敬すべきファンレコードに伝導入りを果たしている。ツアー全通など、常に現場に足を運ぶ姿こそファンの鑑!ブログを読んでくれているとのことでめちゃくちゃ嬉しかった。「もっとブログ書いてください、ぼくもランニング始めました」って言葉の有り難さ!その言葉を頼りに、いま、この文章を書いている。それから名古屋の加藤さんが平日休みを使って東京に来ていたのもドエモい。彼女に借りていたDVDを半年越しに返したら、今度は岐阜のかぼちゃをくれた!どう料理するか、楽しみながら考えたい。彼女はいつも物語に続きをくれる人なのだ。会うのは二回目なのだけれど。フィーバーのフロアでカボチャをもらった人は、僕が初めてだとおもう。ありがとう!

この日、会社からの帰り道、交差点で信号が点滅しているのが見えて「次に青に変わるまで待とう」と決めた瞬間に思わず走り出してしまった。ぼくは人間のこういう揺らぎが好きだ。電車で席を譲るか迷っているとき、おれだって疲れてるから譲らないよ!と決めた瞬間に立ってしまうようなところだ。言ってみれば、今夜のフジ久もそうだ。「この曲は落ち着いて聞こう」と決めた瞬間にモッシュピットに突っ込んでしまうくらいの威力が、人間らしさを引き出してしまうほどの力が、フジロッ久にはあるんだよ。

SEではなつやすみバンドの中川さんが歌う非公式(というよりもはやプライベート)音源「パークのカバー」が流れ始めて、ぼくは中川さんの歌もパークという曲もどちらも大好きなので、すぐに中川さんだとわかってしまった。気持ち悪いファンである。中川さんと藤原さんのユニットはちょっと信じられないくらい素晴らしいので、なつやすみバンドのツアーが終わるのをじっくり待とう。

この日の藤原さんは、超ライブツアーの前の藤原さんが帰ってきたようだった。Say Yes!YesYes!超Yes!超ライブの時の藤原さんは、どこか少し陰があって、その陰から時折、爆発するような光量を放っていた、というのがぼくの印象だ。超ライブツアー前の藤原さん(ライブ盤二枚の収録の頃)とは、モードが違っていたように思う。とっても個人的な感想で言えば、ぼくは超ライブ前の藤原さんが好きだから、帰ってきた感じがしてとても嬉しかった。

中盤、「バンドをやろうぜ」のときに、二列目中央にkbさん×加藤さん×中村さんというフジ久三大トップオーディエンス(尊敬すべきファンたち)が並んでいる景色を、少し後ろの五列目から眺めていた。その背中に、勝手に物語を聞いてしまうぼくだ。物語は影響し合うことを止めさえしなければずっと続く永久機関なのだ。

この日のフジロッ久は、CRYまっくすド平日を地で行く曜日設定に加えて、season1-4までで分けることでCM的な役割を与えていた。セットリストの選曲としてはオーソドックスではあったものの、曲順含めた構成は挑戦的だった。

この日最大の見せ場はもちろんあだちさんのサックスが乱れ咲くシュプレヒコール。まさにワナワナ4曲目。しかしアドリブ混じりの名演であった。感情が昂って思わず叫んだら、隣の知らない兄ちゃんに頭をぐいっと引き寄せられ頭ガッチンこ。こんなん、この日1でしょ。曲が変わる。意図せずともモッシュビットに入っていけば、汗やらいろんなものが混じっていく。フロアの中央に空いた円とは言えないがらんどうのなかに身体のフロウがあちこちと吹いては流れていく。あの場にはストックなんてない、フロウしかなかった。初めて来たという外国人の乱れっぷりを思えば、この日のライブの飛距離は想像できるはずだ。

終演後、超ライブのアナログを買う。世界中の人に自慢したい気持ちで、袋をもらわずに直に抱えて帰った。時折立ち止まり、宙に掲げたり、小西さんの素晴らしいライナーを読んだりした。浮気をして男を寝取ろうと画策している女子をよそに山手線車内に超ライブを掲げた。

いま、帰宅して超ライブをアナログで聞いている。我が家で藤原さんが鍋を作ったりギターをつま弾いたりしたあの夢のような日々が立ち上がる。あの夢から、そろそろ一年が経つ。この素晴らしいアルバムに、あんなにも素晴らしい思い出をくれた藤原さんと、つないでくれた縁に、最大級の感謝を!

夏が終わってゴキブリが死んだら もっと良い友達に会えるかもしれない


期待することを、諦めてはいけない。