いくらを食べて死ぬ前に、死なないように山に行く

もうすぐ6年目なのにスーツをまだ新調したことない、入社時に買ってあった4着で回してるなんてこのまえ親に話したら母親が新しく買ってやると甘やかしてくる。なにも考えずに話す癖を改めた方がいいかもしれない。親の脛をかじらないことなんて、自尊心と自立感の問題なのだ。断るのに苦労する。次のボーナスで買うから、本当に大丈夫だからそのお金で旅行でもいってくださいと伝えて納得してもらった。

年末に母親からもらっていた正月用の詰め合わせ、いくら数の子明太子を冷凍庫から冷蔵庫に移す。ふと賞味期限を見ると11月と書いてあり、心がうち震えた。まじかよ。もらった時点で1ヶ月過ぎとるじゃないか。翌朝、おそるおそる食べてみる。食べ進めるうちにお腹のなかでぎゅるぎゅる音が鳴る。その度にビクビクしてしまう。まあきっとだいじょうぶ!そうしていくらを食べていると、くしゃみが出てしまった。汚いので描写は控えるが、軍艦巻き食べられなかったおばあちゃんといっしょだなと思い、掃除しながら笑ってしまった。

まいにち寒い。でも、お風呂に浸かると夜まであたたかい。山道具を買う前に生活の道具をあれこれ買いそろえるべきだよな。湯たんぽはレンジで湯たぽんを使っている。楽で良いけれどビニールの感触がやはり気になるので、次回買うときには金属製かプラスチックでお湯をいれるものに替えたい。田舎に泊まったときに、翌朝そのお湯でかおを洗ったとき、こういうのなんだか良いなと思ったことを思い出した。

そんなことを考えながら、今週末に行く山の天気を調べると氷点下21℃。雪のち晴れ。-20℃を下回る気温は経験したことがない。正直想像がつかない。行動中はおそらく汗をかくはずで、保温防水防風のうえでレイヤリング(重ね着)によって汗をどう排出するかがネックになることは変わらないはずだけれど。ほんとうは中間着はユニクロのフリースで行くつもりだったのだが、さすがに不安が募り、再び山道具屋に行った。これで三連休まいにち行ったことになる。いっしょに雪山に行く友だちにLINEした。さすがに全員経験のない気温なので、自己責任で装備などの対策を打ち、そのうえでひとりでも危険を感じたらすぐに下山する方針とした。

これから再び、山の準備を進めようと思う。ぼくらはいつだって、死なないように山に行くのだ。いくらを食べて死ぬその前に。