いちにちを閉じてからまぶたを閉じよう

ごぼうとこんにゃくのきんぴらをつくったら、こんにゃくが青く変色してしまった。味はおいしいが見た目が悲しい。理科の実験でこんな色のスライムを作ったことがある。こんにゃくを使う場合は食材のアク抜きを徹底しなければならないらしい。小学校のときにごぼうはアクを抜けと習い、大人になってみると栄養が抜けるからごぼうはアクを抜くなと学び、そんなカウンターへのクロスカウンターをくらった思いだ。しかし自分が試して得た知識は忘れることがない。次生まれ変わったら偉くなって家政省をつくりたい。初代、豚巻きをつくりがちな家政大臣になりたい。あくせくアク抜くはたらくおっさん。

最近つくづく思う。おれはぜったい結婚できないと。倒置法まで使って思うのだからまあまあ思っている。

花に水をやる。水をすこしこぼしたのだけれどそのままにした。床の埃や髪の毛を掃除した。豊かなこととかっこわるいことが同居するのがぼくらの暮らしだ。風呂に入る。パルムを2本食べる。食べながら梅ごぼうの火加減を見守る。そんなふうに一日を閉じることは、もしかしたらすこし豊かなことなのかもしれない。まぶたをとじる前に日々の閉じ方を思いたい。

仕事で席替えをした。前の席の人が居眠りしていたので、昨日遅かったのかな、と心配した。次の日も、その次の日も居眠りをしていた。あの同情を返してほしい。この人にとって居眠りは日々の仕事のひとつに組み込まれているのだ。そのくせ一丁前におれの業務の進捗確認なんかをしてきたので、100光年おせえよリンダリンダからやり直せって台詞をギリギリのところで飲み込む。上司の確認待ちでーすの回答でどや顔をはね返した。という夢を見ました。夢ではありません。夢が良いな。you may dreamの先を思おう。見果てぬ夢の目を覚ますザマス。

登山の格好は普段着るにもとても楽、なんだけれどぜんぜんおしゃれじゃないので、もう少し下着などを工夫しながら寒さをしのぎたい。メリノウールの下着でも買おうかな。

家の前が電気工事をしてくれたようで急に明るくなった。ぼくの家じゃないみたいだ。ぼくの心も電気工事をしてほしい。見せかけだけのあかるさは闇を一層深くするから申請許可は降りないはずだ。