豚ヒレ肉はステーキにして食べようぜ

水曜日、昼休みに弁当を食べていると、ひとりフジ久のライブに行った方がいい気がした。帰宅し、下北沢へ向かった。その途中、街には誰かが里芋を煮っころがす音が鳴っていて、鼻はその音を不安定に捕まえた。こころは弾んだ。下北沢に着くと安くなっていた釜玉うどんを食べてからライブハウスへ向かった。

今年はじめてのライブだった。ステージをみると中川さんが準備していたので、お昼休みの虫の知らせは、つまりそういうことだったわけだ。バンドをやろうぜのメロには元希さんの余熱が反響するエコーのように貼りついていた。ひとりフジ久のライブはこれからを模索している最中で、まだ予定されていないその余白を思った。ぼくが夢中になったフジ久がこれからどう姿を変えていくのか楽しみだ。中川さんは昨晩、藤原さんから声をかけられ、この日の昼に返信をしたという唐突さが藤原さんらしい。パークやライブが素晴らしかったが、さいごのあそぼうのアレンジにはあんな可能性があったのかと気づかされた。フジ久にはまだまだ広げていくフロンティアがある。嬉しくなった。終演後、中川さんとすこしだけ話した。中川さんと初めて話してから、もう4年が経っていた。素晴らしきTNB!の発売はもう5年も前だ。

スーパーで豚ヒレ肉のブロックが300円だったので酒とみりんとしょうゆの魔方陣に一晩閉じ込めてからバターを敷いて強火で焼き付けた。ほとんどローストビーフのような火の通し方だったわけだが、もう寸分の迷いもなくおいしく、お店でステーキを食べるのがバカみたいだ。豚ヒレ肉にはこんなに旨味が閉じ込められているものなのか。ていうかなんでこんなに柔らかいのか。3日だけでいいから有給をもらって部屋でヒレ肉ステーキだけ食べていたい。ところでヒレ肉とはどこの部位なのだろうか。

ごぼうに火を入れる時間がついに20時間の大台を越えた。煮物にハマる人の気持ちがわかる。花に水を遣る気持ちで火加減を見守るのだ。菜箸で口へ運ぶ。梅とごぼうを水で煮ただけとは思えないような滋味。この複雑な味はどこから生まれるのか。誰もに受け入れられる単純なうまさでは決してない。じっくりと火を通すうちに化学式の手と手が互い違ってしまったのだろうか。誤解から始まるシーンだってあるのかもしれない。

コロッケの賞味期限が1月25日だったので、さすがに無理かと思ったけれど味噌マヨで煮詰めてカツ丼のようにして食べた。うまいうまいと思って食べているとマヨネーズの賞味期限は2015年だったのでやべえのはお前かよって思ってウケた。

肌が乾燥する。数年前にニベアのツイートを見たのを思い出して、ニベアを買った。感想がひどいときには顔も含めて薄く塗ることにした。化粧水、乳液に重ねてニベアまで塗ることになろうとは。もう立派なおっさんである。

半年前に元希さんのツイートに影響されてから、もうずっと牛乳石鹸を使っている。いつのまにか、洗顔もボディソープもシャンプーもすべてカウブランドになっている。