王子の狐の嫁入りの

神保町のさかいやで特設セールをしていたので自転車で向かった。ドリンクには梅ドリンクを詰めて持っていった。まだ完成していないものの、もう我慢できなかった。開店からお昼までは超混雑。今回欲しかったのはバラクラバ(目出し帽)だったのだが、目当てのものがなかった。1月に雪山に登ったとき、-20℃で風速20m/hを浴びてバラクラバの口元が一気に凍りつき凍傷の危険を感じたからだ。もっと良いものを買うのだ。しかし山道具はそれなりに値段がするので庶民はsaleで買うしかない。そろそろギアを自作することも考えなくては。友達の分も含めて見てみるが、良さそうなものはもうなかった。

電気屋に向かう。掃除機が安くなっていないかと向かったが、ほしいものはなかった。しかし扇風機がこんなに安いのに、掃除機はいつまでたっても高いし機能もたいして上がらないよな。技術革新が一番なされていない家電なんじゃないか。Nintendo Switchが各地で品切と聞いていたのにさすが新装開店sale中だけあって何十台も売っていた。嬉しそうに買っていく人の顔にあてられて30分ちかく売り場で迷ってしまった。検討の結果、なんとか踏みとどまり買わずにすんだ。

王子にあるコ本やへ。若い人が働いている。北区にこういうお店ができるのは嬉しい。店内をじっくり見る。遠藤周作堀江敏幸あたりをチェックする。結局、いしいしんじの「東京夜話」を300円で買った。本は安くて面白いからさいこうだよな。7月にはかみさまとザ・なつやすみバンドがイベントをやるらしい。しかしついになつやすみバンドが王子へ来る。ヤアヤアヤア!

眠る街、王子。この街をいかにして楽しむべきか。そんなの好きに楽しめばよいのだけれど、ぼくは飛鳥山、音無親水公園、名主の滝のトライアングルを缶ビール片手にぐだぐだ歩くのが一番好きだ。夏場は水場へ、休憩中にアンパンマングミでも食べながら楽しもう。都電(荒川線改め東京さくらトラム)沿いを歩くのも、なにもなくてなかなか面白い。狐のお面でもかぶりながら職質を受けるのも一興。遅い時間にはお店もしまるので、王子の狐に出てくる扇屋の卵焼き、これの一番小さいサイズを買って飛鳥山でビールを飲むのはけっこう悪くない。21時前なら駅前の平澤蒲鉾店でおでんをつまむってえのも良い。しこたま酔っぱらったら狐に化かされて馬のうんこをおはぎと間違えて食べましょう。王子という街は江戸の周縁として地政学的にも重要な場所だったと思う。それは2017年においても変わらない、ノスタルジーではない。現在進行形で弛緩しているこの街をぜひ楽しんでほしい。

帰宅し、フードプロセッサでかき氷をつくる。梅シロップをかけて食べる。ふわふわとは呼べないがうまい。冷たいものを食べるのだから胃に悪い。その罪悪感含めておいしい。それから豚キムチパスタを作る。まあまあだ。おれには夢がある。自炊で国家を転覆させること。それがおれの夢です。

夜、兄から連絡がくる。どうやら子どもができたらしい。そのせいなのかどうなのか、ふらふらと散歩したい欲求が募る。缶ビール片手にceroを聞いて夜の街をたむろしてい ると、ひとりが満たされ過ぎる。2ndから3rd、1stへと聞いた。Orphansや街の報せ(特典ver.)にはなんだか涙が出そうだった。埃と湿気の季節が始まる。