なぜ金持ちはお金にうるさいか

現金1万円稼ぐには、1万円分働いただけではぜんぜん足りない。なぜなら税金や保険料の控除があるから。

平均年収で考えれば、現金1万円1枚を手にいれるには、1万2-3千円分は労働する必要がある。詳しく言えば、年収(厳密に言えば標準報酬月額や前年からの時間外増減などの諸要素)によって異なるけれど、社会保険料(年金、健康保険、雇用保険)でだいたい17%の控除、所得税や住民税で7%くらいだろう。さらに、40歳からは社会保険料介護保険料が追加される。ましてやそこから預金を現金化するのに時間外手数料や他行取扱い手数料が掛かる場合もあるし、少なくとも毎回消費税で8%(今後は10%)が持っていかれるので、1万円の商品の価値は、労働換算すると実質1万4千円程度ではないか。つまり、お客さんがあなたに払った1万円はお客さんにとっては1万円ではなく、1万4千円分の労働が含まれた1万円なのだ。もちろんここには、公的サービスを享受する恩恵が含まれているのだけれど。

そして、商品価値と労働価値の解離というこの感覚は所得が増えるにつれて(少なくとも閾値を越えるまでは)比例して増えていく。累進課税制度だから。金持ちがお金にうるさいというのはこのためではないか。

最近は1万円を見るたびに、この1枚には、1.4万円程度の労働がこめられていることを思い出すようになった。お金を大切にする意識が芽生える。さて、結婚式の予定が3件。今月は登山グッズにいくら突っ込むかな。